
小田急新松田駅と隣接するJR松田駅から御殿場線の電車に揺られて25分ほど、7時前に足柄駅に到着。 小田急線にも足柄駅があるが、向こうは神奈川県小田原市の海の近く、こちらは静岡県小山町、標高330mの山中だ。 足柄駅には、新国立競技場をデザインした隈研吾さんが設計し、木をふんだんに使い小山町役場足柄支所を併設した駅舎が建っており、その奥には富士山が顔を覗かせている。

駅前には熊に跨った金太郎像があり、出迎えてくれる。 金太郎も棚田のお米を食べて育ったのだろうか?

棚田と富士山が同時に見えるポイントはいくつかあるが、まずは御殿場線の電車も見れる東側の斜面へ行ってみる。 踏切を渡って坂道を登っていく。 宝鏡寺をすぎて、1kmほど歩くと眼下に棚田と御殿場線の線路、その上に富士山が見える。 御殿場線は日中の本数が少ないので、写真を撮るなら午前中の早い時間帯がよい。
8時頃には新宿からのロマンスカーも通り、車体の色がフェルメールブルーなので棚田の緑に映える。 フェルメールブルーとは光沢のある青色で「真珠の耳飾りの少女」という絵画で知られる。

線路と反対側に目を向けると、新緑に包まれた山々が見え、最も高い尖ったのが金太郎伝説の金時山である。 畦道で棚田を見張っている人がいるのかと思ったら案山子であった。

いったん足柄駅に戻って鮎沢川を渡り、今度は西側の斜面を上がっていく。 こちら側にはよく知られる「竹之下の棚田」がある。 駅周辺にはコンビニが一軒あるだけで、食事をできそうな店はない。 坂道が多くエネルギーを使うので、行動食は必要である。
坂道を登り切って東名高速を高架で渡ると、馬伏川の手前の段丘に棚田が広がっている。 田植えを待つ田んぼに富士山が映って綺麗だ。

さらにぬかるんだ畦道を奥に分け入ると、馬伏川が180度ほど大きくカーブして蹄のような部分につくられた「竹之下の棚田」が眼下に姿を現す。 2、3段の小さな棚田だが、他にはない変わった形で、その上には富士山も見える。
標高2700m付近まで雪が残っているが、その境界線状の左端を見ると出っ張りがあるのが分かるだろうか。 これは宝永山といい、江戸時代に噴火したときに出来たものだ。 その上部に見える抉られた部分が宝永火口である。

しばらく棚田を見ながら休憩して、もう少し西の方まで足を伸ばす。 足柄駅の周辺は山に囲まれているが、ひと山越えて1kmほど行くと土地が開けて、大きな水田が広がっている。 住宅も少なく、田舎の田園風景といった感じだ。

鮎沢川に注ぐ馬伏川、佐野川、さらにその支流が張り巡らされた肥沃な土地で、ところどころに溜池もある。 水田には金時山が映っているが、もうすぐ青田になり、秋には黄金色に輝くのだろう。 カナダからの手紙という曲があるが、ここではさしずめ棚田からの手紙、秋になったら黄金色に輝いて戻ってきます…。 秋になったら、また来てみたい。

気温が上がるにつれて雲が出てくる。 この辺りはバスがなく、御殿場線の本数も少ないので、時間を計算して駅に戻るのがよい。 山中湖や河口湖など、賑やかな観光地の湖畔から見る富士山もよいが、このような生活に密着した溜池越しの何気ない風景もいいものだと思う。

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