5月新緑の丹沢最高峰・蛭ヶ岳へ 🌳


蛭ヶ岳は丹沢の最高峰で標高1673m、神奈川県の最高峰でもある。 4月初めはまだ雪が残っており、梅雨をすぎた7月や8月は暑い。 やはり5月の新緑の季節が最も気持ちよく歩けるだろう。 健脚向けのコースで所要10時間ほどかかるが、この時期は日が長いので安心だ。 ゴールデンウィーク明け、新緑の丹沢縦走登山に出発しよう。


丹沢登山の楽しみの一つは富士山が眺められることである。 ゴールデンウィークの時期は冬に比べると空気が澄んではいないので、富士山を見るにはできるだけ早い時間帯に歩き始めるのがよい。
小田急渋沢駅から大倉行きの始発バスは大倉に7時に到着するが、蛭ヶ岳への丹沢主稜縦走コースは長いので、できる限り早く出発したいということで、秦野駅から渋沢駅行きのバスに乗って大倉入口で下車。 車道を30分歩き、登山口の大倉には6時30分に到着。
トイレを済ませ、自販機でスポーツドリンクや水をたくさん買って歩き始める。


まずは標高1491mの塔ノ岳を目指す。大倉の標高は300mである。 15分ほど登って観音茶屋を過ぎると2つに道が分かれ、秦野市街の景色がよく、水が湧いているパノラマ台で小休憩。 分かれた道が雑事場ノ平で合流すると見晴茶屋が建ち、この辺りから本格的な登りが始まる。
大倉尾根、通称バカ尾根と呼ばれる登り一辺倒の急坂が延々と続き、暑さもあって息があがるが、駒止茶屋をすぎると富士山が顔を出し、風が吹き抜けて気持ちがよい。


しばらく急な登りから解放され、新緑の森を気持ちよく歩いていく。 森野緑さんからのラブレター。新しい私、新緑に会いにきてね、と言った感じでしょうか。
小草平に建つ堀山の家(山荘)にクーラーボックスが置いてあり、100円で飲み物が売っている。 塔ノ岳への山荘は、土休日は営業しているが、平日は閉まっている。 思っていたよりも暑く、飲み物が足りなくなりそうなので、2本購入していく。


戸沢からの天神尾根が合流すると、植生保護の柵の中を丸太の階段が続いてしんどいが、やがて樹林を出て振り返ると相模湾が見渡せる。 陽光を浴びてキラキラと光る湘南の海が眩しい。 ここから先は日差しを遮る樹木が少なくなるので、帽子や日焼け止めはあったほうがよいと思う。


階段を登り切ると花立山荘に着く。 ここからは荒れた斜面を登っていき、やがて塔ノ岳の山頂が見えてくる。 馬ノ背と呼ばれるやせた尾根から、鍋割山への道が分かれる金冷シに出ると、塔ノ岳への最後の登りだ。 因みに鍋割山は、山頂で鍋焼きうどんが食べられる人気の山である。


塔ノ岳山頂には9時15分に到着、登山口の大倉から2時間45分。 塔ノ岳は山岳信仰の山で、関東大震災で崩落してしまった尊仏岩があったことが山名の由来である。 山頂には尊仏山荘が建ち、宿泊することもできる。 標高1491mの山頂からは富士山をはじめ、東京方面や相模湾、南アルプスまで見渡せる360度の大展望だ。
ほとんどの登山客はここで引き返すが、丹沢山、蛭ヶ岳へ向けてはここから本番である。 しばらく休憩して栄養を補給、体力を回復させる。


塔ノ岳を出ると丹沢山、蛭ヶ岳へ、本格的に縦走コースが始まる。 とにかく距離が長いので覚悟が必要である。 日高、竜ヶ馬場と登降を繰り返しなら徐々に高度を上げていく。
竜ヶ馬場にはベンチが置かれ、塔ノ岳や大山、相模湾が見える。笹原での小休憩は心地よい。


10時40分、丹沢山に到着。 丹沢山は日本百名山とされているが、深田久弥の日本百名山によると、塔ノ岳や蛭ヶ岳などを含めて丹沢山というらしい。 広い山頂には、みやま山荘が建っており、宿泊して星空を眺めるのもよいかも知れない。


丹沢山を出るとしばらく下り、どっしりとした山容の不動ノ峰へ、草原の中の長い登りが続く。 不動ノ峰は丹沢第2位の標高で1614m。かつて不動明王が祀られていたそうである。 途中、屋根つき休憩所があり、きつい直射日光を凌ぐ。 地図には「水」のマークがあって補給したかったが、かなり下る必要があり、疲れが増しそうなので先に進む。


何とか不動ノ峰まで辿りつくと、パッと視界が開けて富士山の風景が目に飛び込んでくる。 景色を眺めながら今度は荒れた急坂を下り、登り返すと棚沢ノ頭。 丹沢山からここまでが1.7km、蛭ヶ岳へは1.6km、かなり歩いたのにまだ中間地点なのかといった印象だ。


棚沢ノ頭から15分ほど歩くと鬼ヶ岩。2つの岩が鬼の角のように見えるのが名の由来。 ここから富士山や南アルプスがよく見えるのだが、気温が高くさすがに霞んできた。


富士山から右に目を移すと蛭ヶ岳が大きく見える。 鬼ヶ岩から慎重に下ると、蛭ヶ岳の最後の登りとなるが、ここまで歩いてくるとなかなか脚が動かない。 乳酸が溜まっているということだろうか。


25分ほどかかって、ようやく丹沢最高峰の蛭ヶ岳に12時20分に着いた。 標高は1673m、神奈川県の最高地点である。 山頂は広く、ベンチやテーブルが多数あるが、ゴールデンウィーク明けの平日なので、登山客は疎らだ。 ここにも山荘が建っており、宿泊ができる。


白く霞む富士山を眺めながら昼食を摂り、休憩して長い下りに備える。 ここまで予定よりも時間がかかりすぎたので、バスの便を考えると下りで時間を稼がなければいけない。 15分ほどの休憩で、12時35分に蛭ヶ岳を出発。


しばらくは急坂を慎重に下っていくと、登山者がけっこう登ってくる。 挨拶をすると、こちらの姫次からのコースを往復するそうだ。 確かに、蛭ヶ岳だけが目的ならこちらの方が楽である。 途中の原小屋平には、かつて山小屋が営業していたらしい。
急坂が終わって、緩やかに下っていくと、姫次に13時25分着。 ここも富士山が見えるポイントだが、まったく見えなくなってしまった。 遠くに見える蛭ヶ岳に見送られて焼山へ向かう。


姫次から焼山へは東海自然歩道になっていて歩きやすい。 東海自然歩道とは高尾山から大阪の箕面まで続く道である。 東海自然歩道の最高点を越えると、ずっと緩やかな下りで1時間ほどで焼山に到着。
ここは鳥屋、青野原、青根、三集落の境で、山に入る人が多く、たびたび山火事が起こったことが焼山の名の由来らしい。 焼山には立派な展望塔があり、らせん階段を登ると宮ヶ瀬湖や東京方面が見える。


さらに焼山からはひたすら下る。 焼山から登山口の間は山ビルが多く生息しているので、梅雨を過ぎたら歩かないほうがよい。 私も6月に登ったときに靴下が血で真っ赤に染まったことがある。
西野々バス停には16時に着いた。 30分ほぼバスを待って三ヶ木へ、乗り継いで橋本駅へ向かう。 さすがに疲れて、バスの車内でウトウトし、目を覚ますと橋本駅に着いた。




旅行記&登山記
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