登山口の金時神社へは小田原駅や箱根湯本駅からバス、または小田急箱根高速バスなどで行くことができる。 広い駐車場もあるが土日は混雑するかも知れない。
東京よりも一足早く紅葉が始まった11月初め、小田原駅から桃源台方面へのバスに乗って仙石で下車、国道138号線を御殿場方面へ15分ほど歩くと登山口である金時神社入口バス停に着いた。
金時神社の正式名は公時神社で、幼名が金太郎である坂田公時を祀っている。 坂田公時は平安時代の武将・源頼光の家来となったが、幼少期には熊と相撲をとった伝説や、まさかり担いだ金太郎〜♪の童謡でも知られており、境内にはマサカリのオブジェもある。
鳥居をくぐって社殿上に金時山頂を仰ぎ、参拝していよいよ登山道へ。 公時神社から樹林に入って緩やかに登っていくと、左に金時手鞠石、右に金時蹴落石があり、金太郎がこれらの巨石でお手玉や蹴ったりして遊んだという伝説が残っている。
さらに登っていくと、登山道から少し外れたところに奥の院が建ち、その上には金太郎と山姥が住んでいたと伝わる金時宿り石という2つに割れた巨石が行く手を遮っており、その脇をすり抜けていく。
金時宿り石を過ぎた辺りから徐々に傾斜が増し、丸太の階段や岩場などを登って高度を上げると樹林から出て展望が開け、右前方に仙石原や神山、芦ノ湖などが見えるようになる。 風が吹き抜けてとても気持ちがよいので、しばらく休憩するとよい。
すぐ先で矢倉沢峠や明神ヶ岳から金時山頂へ続く尾根に合流すると登山者が増えて賑やかに。 最近は欧米などの外国人の姿もよく見かけるが、富士山が見える旅行先として紹介されているのだろうか。
登山道が合流すると山頂までは約20分の登りだが、丸太の階段や岩場などかなりの急坂が続く。 とくに危険な道ではないが狭いので、下ってくる人と譲り合ったり挨拶したりしながら登る必要がある。 また、春先は雪や霜が解けて、田んぼのようなドロドロの道になっていることもある。
急坂を登り切ると山頂に着く。登山口からは1時間20分ほど。 標高1212mの山頂に着くと、まず富士山が目に飛び込んでくる。 左に乙女峠、丸岳、長尾峠、三国山へと続く外輪山、その下には芦ノ湖、さらに左には噴煙を上げる大涌谷。 富士山の左隣に愛鷹山、右奥には北岳や甲斐駒ヶ岳なども遠望できる。
暖かい陽光と心地よい風に吹かれて、絶景を眺めながら岩場に座って休憩するのは最高の気分だ。
富士山を見るのに最もよい季節は秋晴れと言われる頃だろう。 冬が最もスッキリ見えるが、風が吹きさらしで寒く、長い時間はいられない。 また、積雪やアイスバーンになっていたりするのであまりオススメはできない。 春は気候がよいが霞んでいることが多く、夏は暑く見える確率も低い。
1月の金時山頂。積雪がある。
5月の金時山頂。富士山の雪が消えかけている。
11月の金時山頂。空気が澄み、ひんやりして清清しい。
山頂には金時茶屋と金太郎茶屋、二軒の茶屋が建っている。 金時茶屋は金時娘がいる茶屋で有名だ。
二軒の茶屋の間には公衆トイレがあり、3つの建物に囲まれるように小さな3つの神社が祀られている。 金時山頂は神奈川県箱根町、南足柄市、静岡県小山町の境界にあり、それぞれが猪鼻神社を祀っているという訳だ。
芦ノ湖と噴煙を上げる大涌谷。
山頂は岩がゴツゴツしてそれほど広くなく、昼頃は登山者で溢れてしまうほどの人気の山なので、できれば午前中に登ってしまうのがよいだろう。 また、早い時間帯ほど富士山が見える確率も高い。
昼食は山を下った後、温泉などと一緒に楽しむのがよいと思う。 仙石原の松月堂菓子舗では、公時山まんじゅうというものが売られている。
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