函館元町の教会群と百万ドルの夜景 🌃


【北海道へ】
東京から北海道へは、約95%の人が飛行機を利用するという。 旅行でも仕事でも、羽田から千歳へ飛び、札幌を拠点に小樽や旭川方面へというコースだ。 函館へは、札幌から列車で3時間半もかかるので、東京の人が北海道旅行で函館に行くのは相当に少ないと言える。
東京から函館までは、2016年に北海道新幹線が開業して、観光客が増えたように思えるのだが、乗車率はかなり低く、赤字が膨らむ一方らしい。 新幹線か飛行機のどちらに乗るかは4時間が境界線なので、東京から約5時間かかる函館へは微妙なところである。

北海道新幹線・奥津軽いまべつ駅

北海道新幹線が開業して、青森から函館までの所要時間は、在来線時代と比べてもちろん短くなったのだが、特急料金は約2倍に跳ね上がってしまった。 その結果、新幹線を利用せずに、フェリーで津軽海峡を渡る人が増えたという。 青森から函館まで、新幹線の場合は約1時間半で7200円、フェリーの場合は4時間かかるが2000円程度で行くことができる。 私もフェリーに何度か乗ったことがあるが、新幹線よりも乗客が多いような印象であった。
2030年に新幹線は札幌まで延伸される予定だが、新函館北斗駅は函館市街からだいぶ離れているので、函館は素通りされてしまう不安もあるようだ。 とはいえ、何度でも行きたくなる魅力のある地ではある。

フェリー埠頭から見た函館山

【函館元町へ】
函館は異国情緒漂う町と言われる。 江戸末期に国際貿易港として開港し、とくに元町は欧米の影響を受けて栄えた函館の中心地だった場所だ。 函館山の山麓、海を見下ろす各坂には、洋風建築の教会群や旧領事館が点在している。 ロマンあふれる元町を散策して函館山の展望台へ。最後は百万ドルの夜景を眺めよう。

函館山から見た教会群

函館駅から青函連絡船の摩周丸などを見て、朝市を抜け海沿いを20分ほど歩くとベイエリアで、明治時代に建てられたという赤レンガ倉庫の上に函館山が覆うように見えてくる。 ベイエリアは、はこだて明治館、金森赤レンガ倉庫、函館西波止場など、買い物や食事など観光客で賑わっているところだ。

ベイエリア

函館駅前からベイエリアの最寄である十字街まで、市電に乗るのもよいだろう。 北に位置する五稜郭へも市電が便利だ。 函館湾沿いを西へ歩いていけば、北海道第一歩の地碑などがあり、緑の島へ渡ることもできる。

函館市電

ベイエリアから市電の軌道を横切り、19ある函館の坂で最も有名な八幡坂を上ってみよう。 かつて箱館八幡宮が建っていたことが名前の由来だ。 上まで登って振り返ると、函館港や摩周丸を見下ろせる、八幡坂は函館の景色の象徴の一つである。 周辺には教会群が点在し、函館ハリストス正教会やカトリック元町教会などの洋風建築が美しい。 渡辺篤史さんの建物探訪ではないが、いろいろと散策してみよう。

八幡坂

函館ハリストス正教会は、1859年に建てられたロシア領事館の付属聖堂が始まりという。 現在の建物は1916(大正5)年の再建で、6個の鐘があり国の重要文化財。 日本の音風景100選になっている鐘の音は、ホームページもが聞くことができる。

ハリストス正教会

カトリック元町教会は、1859年にフランスの宣教師が仮聖堂を建てたのが始まり。 現在の建物は1924(大正13)年の再建で、赤い屋根と風見鶏がのった高さ33mの鐘楼が印象的だ。

カトリック元町教会

函館聖ヨハネ教会は、明治7年に英国の宣教師が伝道を開始したのが始まり。 現在の建物は昭和54年の再建で、十字架のデザインが特徴だ。 函館山展望台から見ると、建物自体が十字架の形になっているのが分かる。

聖ヨハネ教会

教会群のある八幡坂周辺から西へ歩くと、旧イギリス領事館や旧函館区公会堂が建っている。 旧イギリス領事館は1913(大正2)年の建築、ティールームで本場英国の紅茶を味わうのもよさそうだ。 建物裏の庭園からは函館山の山頂を眺めることができる。

旧イギリス領事館

旧イギリス領事館から一段高いところには、明治43年に建てられた旧函館区公会堂が建ち、国重要文化財。 すぐ近くの元町公園には観光案内所があり、函館港を見渡せる。

旧函館区公会堂

さらに西へ歩けば、1909(明治41)年築、赤レンガ2階建の旧ロシア領事館、称名寺や高龍寺が建っている。

旧ロシア領事館

海沿いまで来ると、ペリーの時代まで遡る外国人墓地から見下ろす海の景色が素晴らしい。

外国人墓地近くの海

【函館山へ】
最後は教会群まで戻り、近くの山麓駅からロープウェイで一気に標高334mの函館山山頂へ。 ロープウェイの点検で運行していない場合は、バスまたは、苦でなければ徒歩でも登ることもできる。

函館山山頂

函館山山頂へはいくつか登山ルートがあり、最も一般的なのが旧登山道コース。 旧登山道とは地元の人によると昔の車道で、道幅が広く緩やかで歩きやすい。 小学生の遠足でも歩かれているそうなので、教会群の辺りからなら、1時間もあれば山頂まで登れるだろう。

旧登山道コース

函館山山頂の展望台からは、函館市街、渡島駒ヶ岳、恵山、青森の下北半島など、360度の眺めだ。 散策してきた八幡坂や教会群を上空から探すのも面白い。

展望台からの眺め

函館山は展望台のある御殿山を中心に、薬師山、汐見山、月見山などの総称である。 明治時代に日露戦争を想定して、津軽海峡の防衛を目的に要塞が築かれ、現在でも砲台跡などが残っている。

薬師山の要塞跡

月見山の千畳敷まで歩いていくと、御殿山の展望台と函館市街の眺めがよく、ここにも砲台跡がある。

千畳敷砲台跡からの眺め

日没に合わせて登り、函館の街に徐々に明かりが灯っていくのを見るもよい。

夕方の函館市街

昼間は空いているが、日が暮れると百万ドルの夜景というだけあって、さすがにすごい人手だ(コロナ前)。 夜景はロマンチックだが、実際に行ってみると足の踏み場もないほどの混みようで、我先に前へ前へと、まるでバーゲンセールの会場である。 穏やかに夜景を見るには、展望台のレストランを予約するなどが必要なようだ。

百万ドルの夜景

教会群や赤レンガ倉庫などもライトアップされるので、展望台から下った後、そちらを眺めるほうがロマンチックかも知れない。 徐々に明るくなっていく夜明けの海を見に行くのもよいと思う。 明け方の八幡坂から見る函館港も素敵だ。

夜明けの八幡坂



旅行記
拙い文章ですが、お読みいただければ幸いです。
🌃函館元町の教会群と百万ドルの夜景
🌲渡島当別駅からトラピスト修道院へ
🐎日高本線で様似・襟裳岬へ
🌊釧路から本土最東端の納沙布岬へ


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